全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が回顧録で、光州民主化運動に北韓軍が介入したなどと主張したことについて、被害者団体がことし5月、全元大統領を名誉き損罪で訴えていた裁判で、損害賠償を認める判決が出されました。
光州民主化運動は、1980年5月18日に、民主化を求めて光州の学生や市民が鎮圧軍部隊と衝突し、軍の発砲によって200人以上が死亡または行方不明になったもので、今年で38年となります。
光州地方裁判所は13日、全元大統領が被害者の名誉をき損したとして、被害者団体に合わせて7000万ウォンを賠償するよう、原告一部勝訴の判決を下しました。
また、問題となった表現、30か所を削除しない場合、出版や印刷、発行、配布はできないとしました。
全元大統領は、去年4月に出版した自身の回顧録で、光州民主化運動に北韓の特殊軍が介入した、秘密裏の埋葬はなかったなどと主張しています。
裁判所は、「光州民主化運動に関するこれまでの裁判や、国会の聴聞会などを通じて、1980年5月18日の事件は、軍の無分別な鎮圧によって、多くの市民が犠牲となった民主化運動だったという歴史的な評価がすでに出されている。にもかかわらず、光州民主化運動の発生経緯や結果などに関する事実とは異なる記述によって、被害者の名誉をき損した」と強調しました。
また、「全元大統領が主張している、出版と表現の自由は、あくまでも考証を経た客観的な資料にもとづかなければならない」としました。
裁判所の判決を受けて、被害者団体らは、歓迎の意を示したうえで、「全元大統領の回顧録をめぐる刑事裁判でも、強制的に出頭させ、必ず法廷に立たせるべきだ」と強調しました。