韓国外交部の趙顕(チョ・ヒョン)第1次官と外務省の秋葉剛男事務次官が25日、東京都内で会談しました。
先月文大統領が、旧日本軍慰安婦問題をめぐる2015年の韓日合意にもとづいて設立された「和解と癒やし財団」について、解散の方針を伝えて以来、初めて行われる外交当局間の協議ということで、注目が集まっています。
外交部によりますと、両国次官は25日、東京都内で会談し、「和解と癒やし財団」の問題などを含む韓日関係に関する諸懸案について意見交換したということです。
前日の24日、慰安婦問題を担当する陳善美(チン・ソンミ)女性家族部長官が、財団について、「解散する方向で、ほぼ決まっている」と明らかにしただけに、今回の会談では、財団解散という韓国政府の方針が日本側に具体的に伝えられたとされます。
これについて、秋葉事務次官をはじめ日本側は、公式な立場を示していません。
日本のメディアは、「日本政府は、会談で合意の着実な履行を求めた」と伝えました。
外交部の当局者は、「日本側が会談の時間を予想より長く組んでいたことから、言いたいことが多かったようだ」と雰囲気を伝えました。
日本の最高裁判所にあたる韓国の大法院が今月末、日本による植民地時代の強制徴用被害者が新日本製鉄を相手に起こした訴訟の判決を言い渡すことになっているなか、財団の解散が予定通り進められれば、韓日関係に及ぼす否定的な影響はかなり大きいとみられます。
一方、外交部は、韓日両国の文化、人的交流に関する作業部会が29日、ソウル市内で開かれる予定だと明らかにしました。
今回の外務次官会談で、両国は、韓日共同宣言20周年をきっかけに、両国の文化、人的交流の活性化が必要ということで認識をともにし、趙第1次官は、秋葉事務次官を韓国に招いたということです。
「韓日共同宣言」は、1998年10月に当時の金大中大統領と小渕恵三首相の首脳会談で採択されたもので、両国の未来志向の関係を重視し、小渕首相が過去の歴史に謝罪するという内容が盛り込まれています。