最低賃金を決める仕組みについて、1998年に導入された今の仕組みが見直される見通しとなりました。
これまでは、労働組合側委員9人、経営者側委員9人、政府側の公益委員9人の、合わせて27人で構成された「最低賃金委員会」で最低賃金を決めてきましたが、労使のいずれかが途中で会議をボイコットすることが多くなっていました。
新たに導入が検討されている仕組みは、まず、専門家からなる「範囲設定委員会」を設置し、最低賃金引き上げ率の範囲を決め、その範囲内で、労使と公益委員が協議して具体的な引き上げ率を決めるというものです。
引き上げ率の範囲は、労働者の賃金水準、企業の支払い能力、雇用率、経済成長率などを考慮して決めます。
政府は、今月末までに関係者の意見を幅広く聴いたうえで、来月の臨時国会で法律の改正を目指すとしています。
しかし、労働界は、範囲設定委員会が最低賃金の引き上げ率を過度に低くするおそれがあるとして強く反発しており、難航が予想されます。