韓日関係の正常化を妨げる要因として、韓国では「日本との関係を改善しよう」と言えば保守親日派にされてしまう、「親日は保守、反日は革新」という認識が蔓延していることがあると言われ、こじれた韓日関係を改善するには、こうした二分法的な考え方を乗り越えなければならないと指摘する専門家の声が相次いでいます。
東北アジア歴史財団理事長を務めた鄭在貞(チョン・ジェジョン)ソウル市立大国史学科名誉教授は29日、「親日・反日フレームに閉じ込められ始めたら、‘韓日関係を改善しよう’という声が消えてしまう。未来の世代のためにもこれを克服する努力が必要だ」と指摘しました。
「親日は保守、反日は革新」という認識を克服した例として、革新派の金大中(キム・デジュン)政権をあげることができます。
1998年1月、日本政府は韓日漁業協定を一方的に破棄するなど、韓日の間では緊張が高まっていました。当時の金大統領は、この年の10月8日、東京で小渕恵三首相に会い、共同宣言文に署名しました。日本は、植民地支配に対する「痛切な反省と心からのお詫び」をし、韓国は「日本が戦後、世界の平和と繁栄に貢献したことを高く評価し、これをもとに未来志向的な関係を築いていく」という内容となっています。
ソウル大国際大学院の朴喆熙(パク・チョルヒ)教授は、「国内政治の観点からだけで見ると、革新系政権だった金大中政権の韓日関係改善はあり得ないことだ。韓日関係の改善は、国家レベルの利益と戦略にもとづいてアプローチすべきだ」と指摘しています。
ソウル大学日本研究所の南基正(ナム・キジョン)教授は、「保守政権よりもむしろ革新政権が韓日関係の改善に乗り出してこそ、世論の支持を得ることができる。文在寅政権が集中している南北関係は、韓日関係とともに進んでこそシナジー効果が生まれる」と指摘しています。