5日、東京で開かれた韓国と日本の外務省局長級会談では、日本政府の韓国産水産物に対する検査の強化や元徴用工問題での仲裁委員会設置などで、両国の溝が浮き彫りになりました。
韓国外交部の金丁漢(キム・ジョンハン)アジア太平洋局長と、日本外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は、5日、東京で会談し、両国の懸案について意見を交わしました。
外交部や共同通信などによりますと、この会談で金丁漢局長は日本政府が先月30日に発表した日本への輸入水産物に対する検査の強化は、事実上の韓国産水産物に対する差別措置であるとして、懸念を伝えました。
これについて金杉局長は「日本国内の食中毒の発生状況を踏まえたうえでの対応だ」と述べました。
日本政府は、韓国産のヒラメなど5種類の水産物に対する検査を強化すると発表しましたが、5種類のうち4種類が韓国からだけの輸入水産物であることから、 韓国が福島県など東日本8県の水産物の輸入を禁止していることをめぐってWTO=世界貿易機関に提訴した訴訟で敗訴したことに対する報復措置だとする見方が出ています。
また、日本の金杉局長は、韓国の最高裁にあたる大法院が、日本企業に対して元徴用工への賠償を命じた判決をめぐって、韓日請求権協定にもとづく仲裁委員会を設置するよう改めて求めてきましたが、金局長はこれを受け入れませんでした。
日本政府は、先月20日、第3国の委員も入る仲裁委員会の設置を韓国に要求しましたが、韓日請求権協定にはこれを強制する規定がなく、韓国外交部は「諸要素を考慮して慎重に検討する」と答え、これを受け入れていません。
また、韓国が仲裁委員を任命せず、仲裁する第3国を指名しなければ仲裁委員会は発足できませんが、日本政府は、仲裁委員の選任期限を今月18日としており、韓国がこの日までに関連手続きに応じない場合は、国際司法裁判所(ICJ)に提訴することも検討しているということです。