韓国で最も権威ある文学賞「李箱(イ・サン)文学賞」は、受賞候補者らが受賞を相次いで拒否したことから、ことしの受賞作の発表と作品集の発刊が無期限延期となりました。
李箱文学賞は、詩人で小説家の李箱の功績を称えて、出版社の文学思想社が1977年から毎年、中篇もしくは短編の純文学作品の中から大賞と優秀賞を選ぶ、韓国で最も権威ある文学賞です。
優秀賞に選ばれた作家らが、ことし相次いで受賞を拒否した背景には、受賞と同時に発生する著作権管理の問題があります。
李箱文学賞の受賞作は、規定によりその版権が3年間、文学思想社に帰属することになり、その作品は作家の作品集で表題作として使えないほか、単行本にも収録できなくなります。
作家のキム・グミは4日、ツイッターで「受賞候補作になったという電話を受けて嬉しかったが、午後に契約書を受け取って惨憺たる心境となった。修正を求めたが受け入れられなかった」と投稿し、受賞を拒否する意向を表明しました。
同じく優秀賞の候補に選ばれた作家のチェ・ウニョンとイ・ギホも、版権などをめぐる規定が理由で受賞を拒否することを、それぞれのSNSで表明しました。
こうした事態を受けて、文学思想社は本来6日に行う予定だった受賞作の発表と記者会見を中止すると発表し、「版権の譲渡に関する規定を削除し、今後、内部で議論を経て対策を講じる。ことしの大賞と優秀賞を再選定するかは、まだ決まっていない」と明らかにしました。