韓国の中学・高校ではことし3月に始まる新学期から、新しい歴史教科書が使われることになります。
文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、朴槿恵(パク・クネ)前政権が導入した中学・高校用の国定の歴史教科書を廃止して以来3年ぶりです。
新しい歴史教科書のもっとも大きな変化は、中学校では先史時代から朝鮮王朝時代までの前近代史を中心に全般的な歴史知識の土台を築き、高校では開港期から現在までの近現代史を中心に政治、社会の変化を学ぶということです。
これまで論争となっていた、国のアイデンティティに関する内容はこれまでの教科書より明確な表現に変わりました。
韓国戦争は「北韓の侵略によって始まった戦争」と記され、韓国は「大韓民国政府の樹立」、北韓は「北韓政権の樹立」という表現に統一されました。
日本による植民地時代の抑圧や、強制徴用や旧日本軍慰安婦などの被害の歴史、それに独島(トクト、日本でいう竹島)をめぐる日本との論争に関する記述はより詳しくなりました。
高校の8種類の教科書すべてが日本の強制動員や独島問題を特集ページとして取り上げ、生徒の参加活動を提示しています。
中学・高校のほかの科目の教科書は、2015年に改訂された教育課程にもとづいて2018年から新たな教科書が導入されましたが、歴史教科書は、前の政権で国定教科書を一本化する政策があった影響で、2年遅れて導入されることになりました。