元徴用工被害者への賠償金支払いをめぐって、最高裁にあたる大法院の判決に従って差し押さえられた三菱重工業の韓国内資産に関する現金化のための強制売却手続きで、裁判所が進めた当事者の意見を聞く審問書の公示送達の手続きの効力が10日から生じ、書類が日本側に届いたとみなされました。
大田(テジョン)地方裁判所はことし9月7日、差し押さえた資産の強制売却を決めるための当事者の意見を聞く審問書を、来月9日までを期限として公示送達し、30日には差し押さえ命令の決定文を、12月30日を期限として公示送達しました。
このうち審問書は10日午前0時をもって効力が生じました。
裁判所は差し押さえ命令の決定文の公示送達の効力が生じる来月30日以降、現金化の命令を出すかどうかを決めるとみられます。
公示送達とは、当事者に届けなければならない書類を裁判所で保管していることを知らせ、ホームページなどで一定期間公開し、相手に届いたとみなす送達方法で、差し押さえた資産の強制売却を決めるためには、審問手続きと差し押さえ命令決定文の送達が必要です。
元徴用工や遺族らは2012年10月、韓国の裁判所に三菱重工業を相手取って損害賠償を求める訴訟を起こし、大法院はおととし11月に一人当たり最大で1億5000万ウォンの慰謝料を支払うよう命じています。しかし、三菱重工業が判決を履行しようとしないことから、原告側は去年3月、三菱重工業の韓国国内にある商標権2件、特許権6件を差押え、去年7月には差し押さえた韓国内資産の強制売却命令を申し立てていました。
日本メディアが報じたところによりますと、これについて三菱重工業は、「日韓両国間およびその国民の間の請求権に関する問題は、日韓請求権協定により『完全かつ最終的に解決』され、いかなる主張もできなくなったと理解している。政府間のやりとりの現状なども踏まえ、審問書に対して意見書を提出する予定だ」とコメントしています。