去年10月に、1歳4か月の女の子が、養父母から激しい虐待を受け死亡した事件をめぐって、事前に虐待の通報を受けながら何の措置もとらなかった警察に批判の声が高まっています。
生後半年で養子として引きとられたジョンインちゃんは、去年10月に、救急治療室に運ばれ治療を受けましたが死亡しました。当時、ジョンインちゃんは、膵臓が破裂するなど、腹部を強く蹴られた痕跡があったほか、脚や鎖骨など、数か所が骨折しており、病院は、虐待が疑われるとして、養父母を警察に通報しました。
検察は、先月、ジョンインちゃんの養母を、児童虐待致死などの疑いで逮捕起訴し、養父を、児童遺棄、放任などの疑いで在宅起訴しました。養母は、「言うことを聞かない時に、小さいもので叩いたことはあるが、骨が折れるほど叩いたことはない」として、児童遺棄や放任など、一部の罪は認めたものの、虐待や虐待致死は否認しているということです。
この事件を巡っては、ソウルの陽川(ヤンチョン)警察署が、当時、ジョンインちゃんが虐待を受けているとの通報を3回も受けていたにもかかわらず、虐待の証拠が見つからないとして、何の措置も取らなかったことが明らかになり、警察への批判が強まっています。
ソウル地方警察庁は、事件に関わった陽川警察署の警察官12人に対し、注意や警告などの懲戒処分を出しましたが、処分が軽すぎるとする批判が出ています。
こうしたなか、今月4日に、大統領府青瓦台のホームページに設けられた「国民請願掲示板」には、陽川警察署長や当時の担当警察官の罷免を求める書き込みが掲載され 、1日で20万人以上の支持を得ました。
書き込みには、「国民の安全と命を保護するべき警察署が、児童虐待の通報を幾度も受けたにもかかわらず黙認した。第2、第3のジョンインちゃんが出ないとは限らない。その時も、警察と関係機関は手をこまぬくつもりか」として、陽川警察署長と担当警察官の罷免を強く要求すると書かれています。
世間の批判を受け、金昌龍(キム・チャンリョン)警察庁長は6日に開いた会見で、虐待を受けていた子供の生命を守れなかったと謝罪し、陽川警察署長に対し、事件に対する指揮責任を問い、自宅待機命令を出す方針を示しました。