最近ソウル市をはじめ一部の地方自治体が、外国人労働者に対して新型コロナウイルスの検査を義務化する行政命令を出したことについて、人権侵害だと訴える陳情書が提出され、国家人権委員会が19日、調査に乗り出しました。
国家人権委員会はこの日発表した声明で、「外国人たちが、ウイルス検査を義務化した行政命令が人種差別のように感じられるとして、人権委員会に陳情書を提出した」とし、「人権委員会は差別と人権侵害の有無を迅速に判断する」と明らかにしました。
人権委員会は、「移住民を排除する政策は、移住民に対する否定的な認識と差別を引き起こすほか、社会の統合や信頼基盤などを揺るがし、人種に対するヘイト犯罪につながる可能性もある」と指摘し、一部の自治体が出した行政命令を間接的に批判しました。
そのうえで人権委員会は、「感染が疑われる濃厚接触者や労働者全体を対象にせず、外国人労働者だけにウイルス検査を強制的に受けさせている」とし、「感染症予防法および検疫法上、感染が疑われる人とは、流行地域に滞在し、または経由した人、感染者に接触したなど感染のリスクが高い人と定義されている」と指摘しました。
そのうえで、「政府と自治体は、移住民を対話の場に積極的に参加させることで疎外されないように取り組み、移住民を対象とした政策を実施する過程で、差別的な態度や考え方が生まれないように注意する必要がある」と強調しました。
これに関連して、イギリス政府は、駐韓イギリス大使を通じて人権委員会に問題提起しています。。
サイモン・スミス駐韓イギリス大使は自身のSNSに投稿した映像メッセージで、ソウル市などの行政命令を「不公正かつ過度な措置で、効果的ではない」と指摘しました。
また、ソウル大学も、ソウル市に対して行政命令を撤回するよう求める意見書を送りました。
ソウル大学には、外国人留学生や教職員、研究員など2000人あまりの外国人が在学または在職していて、ソウル大学は今後、人権委員会に緊急救済措置の申請を行う案を検討していると明らかにしました。