在日コリアン3世を母親に持つ神奈川県の大学生がヘイトスピーチに対して起こした訴訟で、東京高等裁判所は被告に賠償を命じる二審判決を言い渡しました。
東京高裁は12日、被告の60代男性に対して、「ブログに投稿したコメントは在日コリアンに対する人種差別に該当する」として、原告の中根寧生さんに慰謝料など130万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
白井幸夫裁判長は「著しく侮蔑的な悪質極まりない投稿で、多感な時期の原告が受けた苦痛は甚大だ」として、横浜地裁川崎支部の一審判決が91万円とした賠償額を増額しました。
中根さんは中学3年だった2018年、川崎市内で平和祈念イベントに参加し、その様子がメディアで紹介されました。
これに対して大分市の60代男性は、自ら開設したブログに「在日コリアンは悪性の外来寄生生物種」など中根さんの人格や容姿を誹謗中傷するコメントを掲載し、侮辱罪などで訴えられました。
中根さんは勝訴後の記者会見で「裁判の過程で何度も辛い思いをしたが、社会が良い方向を進むという希望を持てる判決だ」として、「ヘイトスピーチを根絶する制度が必要だ」と語りました。
日本では2016年、いわゆるヘイトスピーチ解消法が制定・施行されましたが、この法律には罰則条項がないため、実効性に欠けるとの指摘が出ています。