元徴用工被害者らが三菱重工業を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、裁判所は原告側の申請を受け、三菱重工業の関連企業の韓国国内の債権に対する差し押さえを認める決定を行いました。
元徴用工被害者とその遺族など4人は19日、水原(スウォン)地方裁判所は三菱重工業の関連企業が韓国国内の企業「LSエムトロン」に対して持つ8億5000万ウォン相当の物品代金に対する債権の差し押さえを認めたと明らかにしました。
これにより、LSエムトロンは物品代金を三菱重工業側に払うことが禁じられ、元徴用工被害者らは三菱重工業の代わりに直接、LSエムトロンに当該代金を請求することができるようになりました。
元徴用工被害者代理人団は、三菱重工業に対して判決に基づく賠償金の支払い、歴史的事実に対する謝罪を要求するとともに、そのための協議を行うことは可能だという立場を示したと明らかにしました。
最高裁判所にあたる韓国の大法院は2018年11月、三菱重工業に対して元徴用工被害者1人あたり1億ウォンから1億5000万ウォンの慰謝料を支払うよう命じましたが、三菱重工業側は賠償を履行しませんでした。
その後、被害者らの申請により三菱重工業の韓国国内の商標権2件と特許権6件が差し押さえられましたが、現金化は難航しています。
一方、これを受けて、加藤勝信官房長官は、19日に行われた定例の記者会見で、元徴用工側の勝訴が確定した2018年の韓国最高裁の判決について、「明確な国際法違反」と改めて主張したうえで、「仮に現金化に至ることになれば、日韓関係にとって大変深刻な状況になってしまう」と述べて、強い憂慮を示しました。