新型コロナウイルス感染症の治療の最前線に立っている看護師など、医療機関の人材の拡充を求め、全面ストライキを予告していた全国民主労働組合総連盟傘下の全国保健医療産業労働組合は、スト開始予定の5時間前にスト突入を撤回しました。
労働組合側は1日午後3時から政府との交渉を行い、2日深夜に合意に至ったと明らかにしました。
ことし5月末から13回にわたって政府との交渉を続けてきた労働組合は、新型コロナウイルスの感染拡大が続いている厳しい状況を踏まえ、全面ストライキを自制することで一致したということです。
労働組合が主な要求としてきた△公共病院の拡充△新型コロナウイルス治療病院の人材基準の設定と生命安全手当の制度化△看護師1人当たりの患者数の法制化△教育担当の看護師の拡充△夜間の看護師向け診療報酬の拡大の5つについて、政府が労働組合の意見を積極的に受け入れ、今後持続的に検討する意思を示したということです。
労働組合と保健福祉部の交渉に先立ち、金富謙(キム・ブギョム)国務総理が交渉現場に足を運び、問題解決の意思を示したのも、交渉の妥結に前向きに影響したとの分析も出ています。
金総理はこの場で、「労働組合との合意事項について、最善を尽くして履行できるように努める」とし、「制度の改善と予算が必要な事項については、国会との協議を通じて解決する」と約束しました。
労働組合と政府の合意により、懸念していた医療空白や混乱は生じないものとみられます。
全国保健医療産業労働組合は8万人あまりの組合員で構成されていて、今回は5万6000人あまりの組合員が労働争議での調整を申請していました。
このうち、救急救命室や集中治療室や分娩室などに勤務している必須人員を除く30%あまりが全面ストライキに参加すると推定されていました。
特に、必須業務に分類されていない新型コロナの病床と選別診療所に勤務している人員の一部もストライキに参加する予定だったため、新型コロナの感染者への対応に支障が出るとの懸念がありました。