北韓が巡航ミサイルと短距離弾道ミサイル、そして先月28日には極超音速ミサイルの発射実験を行ったことを受け、条件なしの対話を強調してきたアメリカも警戒感を示し、韓国や日本などと対応を協議しています。
アメリカのブリンケン国務長官は、アメリカ・ピッツバーグで現地時間の30日に開催されたアメリカとヨーロッパ連合による貿易・技術協議会(TCC)の場で、北韓によるミサイルの発射実験と関連し、北韓が国連の安全保障理事会の決議を繰り返し違反しているため、深刻に受け止めるべきだと強調しました。ただ、南北間の対話については、引き続き支持するとしました。
アメリカは、北韓が極超音速ミサイルの発射実験を行って以降、イギリスやフランスとともに、国連安保理の招集を求めるなど、深刻な問題意識を示しました。安保理の緊急会合は、10月1日に開かれます。
アメリカのこうした立場の変化は、極超音速ミサイルが、現在のミサイル防衛(MD)システムでは、事実上迎撃が不可能な「次世代のゲームチェンジャー」という評価を受けていることが影響しているものとみられます。
ブリンケン国務長官は、北韓が極超音速ミサイルの発射実験を行ったと主張していることと関連し、「アメリカの対北韓特別代表が、韓国と日本側のカウンターパートと協議している」とし、「今後の方向性について、積極的に意思疎通している」と説明しました。
韓日米3国の当局者も、電話会談を通じて最近の北韓によるミサイルの発射実験などについて懸念を示しました。
外交部の魯圭悳(ノ・ギュドク)韓半島平和交渉本部長とアメリカのソン・キム北韓担当特別代表、それに日本の船越健裕アジア大洋州局長は30日午後1時からおよそ15分間、電話で会談し、北韓によるミサイルの発射実験に焦点を合わせて北韓情勢に関する意見交換を行い、北韓の一連の活動に対する懸念を共有しました。
北韓の国防科学院は28日、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8型」の発射実験を行い、2日後の30日にも従来よりも機動性や探知・追跡能力が向上したと推定される新型の地対空ミサイルを発射したと発表しました。
これは、老朽化した迎撃ミサイルシステムを発展させる過程の一環とみられ、韓国が導入したF-35Aステルス戦闘機など、最先端の武器システムに対抗して防空網を強化するためのものだと、専門家らは分析しています。
北韓は最近、相次ぐミサイル発射で挑発する一方、融和的なメッセージを送る戦略も駆使しています。
北韓が新型地対空ミサイルを発射した30日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長による南北通信連絡線を復旧させるというメッセージが伝えられました。