アメリカ政府はバイデン政権発足以降初めてとなる北韓に対する制裁を発表しました。
アメリカ財務省が現地時間の10日に発表したところによりますと、人権侵害などを理由に、北韓をはじめ、中国、ロシア、ミャンマーなどの合わせて15の個人と10の団体を制裁対象に指定したということです。
制裁対象となった個人や団体は、アメリカ国内にある資産が凍結され、アメリカ人との取引が禁止されます。
財務省は、朝鮮労働党の政治局委員や強制収容所の運営を担う社会安全相などを歴任した李永吉(リ・ヨンギル)国防相を制裁対象に指定し、北韓の不公正な司法制度と執行の責任を追及しました。
財務省は、2016年に北韓に拘束され、開放直後に死亡したアメリカ人大学生、オットー・ワームビア氏について言及し、外国人も北韓の司法制度の犠牲になったと指摘しました。
また国連制裁で北韓の海外出稼ぎ労働者の受け入れが原則禁止されているにも関わらず北韓の労働者数百人に学生ビザを発行したロシアの大学にも制裁を科しました。
さらに北韓政権が運営するアニメーション・スタジオ「朝鮮4·26児童映画撮影所」も制裁対象に含めました。
今回の措置は、これまでも人権侵害への対応を最優先課題としてきたバイデン政権が、政権発足以降、初めて北韓に対して行う制裁ということで関心が集まっています。
一方の北韓は、条件なしに、いつ、どこででも対話する準備ができているというアメリカの提案にこれまで応じていません。
バイデン政権の今回の制裁によって、米朝対話はさらに見通しが立たなくなりました。