北韓が南東部の金剛山(クムガンサン)観光地区で韓国側施設の「海金剛(ヘグムガン)ホテル」の解体作業を進めているとされる問題について、政府は遺憾を表明しました。
統一部のチャ・ドクチョル副報道官は8日の定例記者会見で、北韓が金剛山にある韓国側資産の海金剛ホテルの解体作業を即時中断し、南北間の協議に応じるよう求めると明らかにしました。
チャ副報道官は、金剛山観光は南北協力を象徴する事業であるにもかかわらず、北韓が海金剛ホテルの解体を一方的に行うのは、相互尊重と協議に基づいた南北共同の取り組みの趣旨に明白に反する行為だと述べました。
また、投資家の資産の保護という南北間の合意はもちろん、あらゆる事案を協議して解決してきた事業者間の信頼にも明白に反するものだと強調しました。
加えて、海金剛ホテルの解体に対して韓国側が十分な説明を求めるとともに、協議を始めることを提案しているにもかかわらず、北韓が全く応じていないことにも遺憾の意を示しました。
統一部は先週、韓国側の立場を北韓側に口頭で伝えましたが、北韓はここ1週間、具体的な反応を示していません。
統一部は、今からでも北韓が海金剛ホテルの解体について韓国側に十分説明し、金剛山問題の解決に向けた協議に応じるよう求めるとしたうえで、韓国政府は今後も韓国の事業者らと緊密に協議し、国民の財産を守るために必要なすべての措置を取ると明らかにしました。
チャ副報道官は、解体作業の進捗状況について、「情報の公開は難しい」としたうえで、「作業が続けられていると把握している」と答えました。
また、海金剛ホテルを除いたほかの金剛山施設の解体作業の動向は確認されていないと説明しました。
海上構造物の海金剛ホテルは、現代峨山が運営していましたが、2008年に韓国人観光客が北韓の兵士によって射殺された事件によって運営が中断されました。
2019年に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が現地視察を行い、韓国側の施設をすべて撤去するよう指示したあと、ホテルの撤去をめぐり南北間で意見交換を行っていました。
北韓が2020年1月に新型コロナウイルスの流入を防ぐため、施設の撤去を延期すると通知しましたが、最近撮影された衛星写真で解体作業を行っている様子が確認されました。