結社の自由を保障し、強制労働を禁止するILO=国際労働機関の基本条約3つが20日発効しました。
ILOは、中核的労働基準に関する8つの基本条約を定めています。
韓国は、1991年にILOに加盟して以来、ILO基本条約を批准することを約束し、基本条約のうち、結社の自由に関する第87号と第98号、強制労働の禁止に関する第29号の条約は、国内の事情とは合わないとして批准を見送ってきましたが、2020年12月に、このうち3つの条約が国会で批准され、発効に合わせた国内の法改正が行われてきました。
これで、韓国では8つの基本条約のうち7つが発効したことになります。
3つの条約は、労働条件と関係がなくても、労働者と関係があればストライキなどの団体行動を認めており、解雇者や失業者も労働組合に加入できるほか、条約違反の際に裁判所に加えILOへの提訴も可能としていることなどから、条約発効によって労使の対立がさらに激化するおそれがあると指摘する声が上がっています。
条約について、経営側は、労働者側が個別の企業に関係ないことを理由にストライキを行う可能性があるなど労組の権限が強くなり過ぎるとして、政府に対し、労使のバランスを取るための対策を求めています。
一方の労働界は、条約に合わせて労働組合法が改正されたものの、特殊雇用労働者などの労働三権は必ずしも保障されていないことや、合法的なストライキの条件が厳しいことなどから、「グローバルスタンダードに合わせるべきだ」として、改善を求めています。
雇用労働部は、「ILOの条約の内容が包括的で抽象的であることから、個々の事案に対して条約をいかに適用するかは、裁判所が条約の趣旨や国内法を考慮して判断することになる。具体的な事案をめぐってILOへの提訴がなされれば、国内法の規定の趣旨や必要性を十分に説明し、対応する」としています。