今回の統一地方選挙では、各自治体の教育委員会に当たる教育庁のトップ・教育監17人の選挙も行われ、革新系が9人、保守系が8人が選出されました。これまで革新系が多数を占めていた教育監が保革ほぼ半々となり、今後の教育行政の行方に関心が集まっています。
京畿道(キョンギド)教育監には、2009年に教育監の直接選挙制が始まって以来、初めて保守系の候補・任太熙(イム・テヒ)氏が当選しました。
任氏は「コロナ禍で学力が低下したうえ、学力の二極化が進んでいる」として、低下した学力を引き上げることに重点を置く方針を明らかにしました。
またこれまで革新系の教育監が進めてきた「革新教育」や、高校入試を無くして住居地に近い高校に進学させる「高校平準化」、「午前9時登校制」なども、廃止または見直しを検討するということです。
ソウル市教育監には革新系の曺喜昖(チョ・ヒヨン)氏が3回目の当選を果たし、引き続き「革新教育」を進めることを改めて強調しました。
全国の自治体の教育監は、4年前の選挙では17人のうち14人が革新系でしたが、今回は革新系9人、保守系8人とほぼ半々となりました。
このため保守系の教育監が当選した地域では、学力診断評価が復活され、児童・生徒人権条例などが見直されるだろうという見方が出ています。
また、民族史観学校などの自律型私立高校や、高校生が希望する進路によって必要な科目を選択し、決められた学点(単位)を取得すれば卒業できる「高校学点制」をめぐって、いまの政府と革新系教育監の間で対立が生じる可能性も出ています。
しかし、教育監は特定の政党の代表ではないため、こうした構図を社会的討論のきっかけにしようという声も出ています。
国家教育委員会が来月発足しますが、今後の大学入試制度や教育課程、教育財政などが課題として取り上げられるため、いまの政権の教育政策が大きく問われる場となりそうです。