トラック運転手の労働組合によるストライキは13日で7日目に入り、各地で物流の混乱が続いています。
国土交通部と労働組合の全国組織、民主労総=全国民主労働組合総連盟傘下の公共運輸労組「貨物連帯」は6日、10日、11日に続いて、12日午後2時から政府庁舎で「安全運賃制」の継続などをめぐって4回目の交渉を行いましたが、合意に至りませんでした。
「貨物連帯」は、期限付きで導入された「安全運賃制」の継続などを求めて7日から無期限のストライキを行っていて、これに対し、政府は国会で議論すべきだとしています。
「安全運賃制」とは、貨物輸送にかかる費用を総合的に考慮して運転手の運賃を決める制度で、運転手の適正な賃金を保障し、過労や過積載、速度違反などを防止するために導入されましたが、賃上げにより企業の負担が増し、競争力低下につながるという指摘もあります。
「安全運賃制」は時限措置として2020年に導入され、今年いっぱいで廃止される予定です。
「貨物連帯」は、軽油価格が高騰するなか、「安全運賃制」が廃止されれば生計の維持が困難になるとして制度の継続を求めているほか、運送料の値上げや運送産業の構造改革、労働基本権の拡大などを訴えています。
4回目の交渉が決裂したことで「貨物連帯」によるストは続き、港湾やコンテナ倉庫からの配送の混乱が国際的なサプライチェーンに影響を及ぼすことが心配されています。
釜山(プサン)港のコンテナの搬出入は先月に比べて5分の1に減っていて、鉄鋼大手ポスコは、ストが始まって以降、鉄鋼製品を出荷できない状況が続き、生産を一部中止すると発表するなど、混乱が広がっています。
経済団体は、「貨物連帯」に対する「業務開始命令」を検討するよう政府に求めています。
一方、民主労総は、政府の対応はILO=国際労働機関の条約違反だとして、ILOに対して介入を求める書簡を発送しました。