最高裁判所に当たる大法院は19日、元徴用工訴訟をめぐり、日本企業の韓国内資産を売却し、現金化するための決定を先送りしました。
元徴用工訴訟をめぐっては、日本企業に賠償を命じる大法院判決が2018年に確定し、去年9月以降、日本企業の韓国内資産の売却命令が次々と出されました。
この決定を不服とする日本企業側の即時抗告は棄却され、今年4月以降、大法院で日本企業側の再抗告に対する審理が行われていました。
大法院は再抗告を受理してから4か月以内に、これ以上の審理を行わずに「審理不続行」として略式で棄却することが可能で、その期限の今月19日までに大法院が判断を示す可能性があるとみられていましたが、大法院は決定を19日午後6時までの業務時間内に出しませんでした。
韓日関係への影響を考慮し、慎重に検討する必要があると判断したものとみられています。
高麗(コリョ)大学法学専門大学院の張永洙(チャン・ヨンス)教授は、「2018年の賠償判決が韓日の対立の主な要因となり、当時の判決に対する批判の声が多かった。こうしたことから、判例の再検討など慎重にみていく必要があると判断したものとみられる」と話しています。
外交部も7月、「徴用工問題の解決を目指す外交的な努力が続いている」と説明する意見書を大法院に提出し、決定の先延ばしを図っていました。
大法院が決定を出す時期をめぐっては、担当の大法院判事が9月4日に退任するため、8月中には決定が出る可能性が高いとの見方がある一方で、略式で棄却できる期限がすでに過ぎていることから、韓日関係に与える影響などを含めて幅広く検討したうえで判断を示すとの見方も出ています。