ソウル南部地方裁判所が、与党「国民の力」のトップ、朱豪英(チュ・ホヨン)非常対策委員長の職務執行を差し止める仮処分決定を出したことを受けて、与党は、党憲・党規を改正し、新しい非常対策委員会の設置を目指すことになりました。
「国民の力」をめぐっては、李俊錫(イ・ジュンソク)前代表が党の非常対策委員会体制への転換の効力停止を求める仮処分を申し立て、ソウル南部地方裁判所が李氏の申し立てを一部認めて、李氏を解任し非常対策委員会を発足させた手続きを「不当」と判断し、朱氏の非常対策委員長としての職務執行を本案判決が確定するまで停止すべきとの判断を示しました。
この決定を受けて、「国民の力」は27日午後、5時間以上にわたって緊急の議員総会を開き、新しい非常対策委員会を発足させることを決めました。
そのために党憲・党規の改正を行い、新しい非常対策委員会発足の要件となる「党の非常状態」についての具体的な条項を盛り込む考えで、29日に非常対策会議を開き、党憲・党規の改正を議論します。
裁判所が非常対策委員会そのものについては判断を示さなかったため、新しい非常対策委員会の設置は可能だと判断したものとみられます。
「国民の力」はまた、党の混乱を引き起こした根本的な原因は李前代表にあるとして、党の倫理委員会に対し、追加の懲戒を求めました。
こうした党の方針について、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は29日、「党の議員と党員が知恵を集めて出した結論であれば、それを尊重するのが正しいと思う。党と国の将来のためになる合理的な結論を、し烈な討論によって出すことができると信じる」と述べました。
一方、党内では、「新しい非常対策委員会の設置は裁判所の判断の趣旨に反するものだ」として、党の方針に反発する声も出ています。