韓日関係の懸案になっている戦時中の元徴用工の訴訟をめぐる問題で、朴振(パク・ジン)外交部長官は2日、南西部・光州(クァンジュ)を訪れて被害者2人に会い、問題解決に向けて意見を聞く予定です。
徴用被害者を支援する団体「日帝強制動員市民の集まり」が1日、明らかにしたところによりますと、朴振外交部長官は2日、南西部の光州(クァンジュ)市で、日本による植民地時代の徴用被害者の李春植(イ・チュンシク)さん、梁錦徳(ヤン・クムドク)さんと面会するということです。
2018年の大法院による賠償判決以降、外交部長官が被害者と面会するのは初めてです。
外交部の崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官は1日の定例会見で、「朴長官の被害者訪問は、強制徴用の苦難を経験した被害者の方々の声に、直接耳を傾けるためのものだ」とコメントしています。
朴長官は、勤労挺身隊として三菱重工業に動員された故キム・ヘオクさんが眠る光州の国立5.18民主墓地も参拝するということです。
ただ、今回の面会で、外交部が被害者側との接点を見いだすことができるかは不透明です。
徴用工をめぐっては、日本企業に賠償を命じる大法院の判決が2018年に確定し、賠償に応じない日本企業が韓国国内に持つ特許権や商標権などの資産を売却する「現金化」に向けた手続きが進んでいて、強制執行の開始に向けた大法院の最終判断が迫っているとみられています。
外交部は、韓日関係に大きな影響を及ぼす現金化が行われる前に、外交によって問題を解決しようと、専門家らが参加する官民協議会を開催するとともに、徴用問題の解決に向けた外交努力を説明する意見書を7月に大法院に提出しています。これに対して徴用被害者を支援する団体は、「事実上、判決の先送りを要請した」と反発し、官民協議会への参加を拒んでいます。
「日帝強制動員市民の集まり」は、1日記者会見し、朴長官と被害者の面会について「反対する考えはまったくない」としながらも、「政府は、被害者の意見を傾聴すると言いながら、大法院に意見書を提出して被害者の足を引っ張っている。会う前にまず意見書を撤回し、謝罪すべきだ」と求めました。
一方、外交部は徴用被害者への賠償問題の解決策を探る第4回官民協議会を5日に開催し、学界、法曹界など専門家の意見を聞くことにしていて、外交交渉によって問題を解決するための韓国政府案づくりに向けた最後の意見聴取になるとみられています。