少子高齢化の影響で、韓国の15~64歳の現役世代(生産年齢人口)と、高齢者人口との割合である「高齢者扶養率」が、世界最高水準に達すると見込まれているなか、高齢者の年齢基準を引き上げる必要があるという提言が出されました。
統計庁によりますと、韓国の高齢者扶養率は、ことしの24.6%から2070年には100.6%へと上昇し、世界最高水準に達するものと予測されています。
これを受けて韓国開発研究院(KDI)は6日、発刊した報告書で「高齢者の概念の再検討が必要だ」として、高齢者の年齢基準を引き上げるべきだと主張しました。
韓国開発研究院は「多くの高齢者向け福祉政策が普遍的に提供されている状況で、年齢基準を引き上げられれば、政策の対象が減るため、同じ予算でもより手厚い福祉を提供できる」として、年齢基準を引き上げることで高齢者向け福祉政策の負担を軽減できると説明しています。
韓国は現在、1981年に制定された高齢者福祉法にもとづいて、65歳以上を高齢者と定義しています。
このため、49の主な福祉事業のうち、基礎年金や長期療養保険など24の事業が受給年齢の基準を65歳としています。
そこで韓国開発研究院は、韓国の高齢者扶養負担が本格的に増加し始める2025年から徐々に年齢基準を引き上げて、2100年には74歳にまで引き上げることを提言しています。
そうすると、高齢者扶養率は60%になり、現在の65歳以上という年齢基準を維持する場合と比べて、36ポイント低くなるものと予想されるということです。
韓国開発研究院は「高齢者福祉事業でのコスト負担を軽減するため、長期的な観点から疾病や障害負担、性別・地域別・所得別の格差を考慮して、客観的な根拠にもとづいて段階的な引き上げ計画を講じる必要がある」としています。