与党「国民の力」は、8日、全国委員会を開いて新しい非常対策委員会の設置を議決し、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長を委員長に任命する案を可決しました。
ソウル南部地方裁判所は、先月26日、性接待疑惑の証拠隠滅をはかった疑いで解任された李俊錫(イ・ジュンソク)前党代表の不服申請を認める形で、新たに党トップとなっていた朱豪英(チュ・ホヨン)非常対策委員長の職務停止を命じる仮処分を決めました。
これを受けて、与党は党憲・党規の改正などを行い、新しい非常対策委員会の発足を目指してきました。
今回、委員長に任命された鄭鎮碩氏は、当選5回の国会議員で、現在、国会副議長を務めています。
鄭鎮碩氏は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の最側近ですが、かつて李俊錫前党代表と対立していたため、党の混乱を収拾するには力不足ではないかという見方も出ています。
与党が新しい非常対策委員会の設置を議決したことを受けて、李俊錫前代表は即座に「先の裁判所の決定によって、非常対策委員会そのものが無効になった。新しい非常対策委員会と新しい委員長の任命も当然無効だ」として、差し止めの仮処分を裁判所に申し立てました。
李俊錫前代表は、5日に与党の全国委員会が新しい非常対策委員会の発足に向けて議決した党憲・党規の改正案についても、効力停止を求める仮処分を申し立てており、裁判所は14日に、これら2つの仮処分申し立てを審理することにしています。
李俊錫前代表が仮処分を申し立てたことについて、鄭鎮碩氏は8日、「李前代表は、もはや党と共にする意志がないようだ。戻れない川を渡った」と述べ、遺憾の意を示しました。
一方、「国民の力」で国会運営を取り仕切る権性東(クォン・ソンドン)院内代表は8日、記者会見を開き、「党の混乱が深まっており、責任を痛感する」として、辞任を表明しました。