アメリカの「インフレ抑制法」をめぐって、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がアメリカのバイデン大統領から、韓米間の協議を続けていくという内容の親書を受け取ったことがわかりました。「インフレ抑制法」はアメリカ 国内で生産されたEV=電気自動車だけに優遇税制を適用するもので、韓国企業に不利な内容だと懸念されています。
大統領室の金恩慧(キム・ウネ)広報首席秘書官が5日、定例の会見で明らかにしたところによりますと、尹大統領は4日、インフレ抑制法と韓米同盟に関するバイデン大統領の親書を受け取ったということです。
バイデン大統領は親書で、インフレ抑制法をめぐる尹大統領の懸念を理解しているとしたうえで、韓米間で率直な協議を続けていく考えを強調しました。
大統領室は今回の親書について、両国首脳が先月、ロンドンとニューヨークで数回にわたってこの問題をめぐって意見を交わした結果にもとづいて書かれたものだと説明しています。
韓国政府は、インフレ抑制法の内容として韓国にも優遇措置が設けられるよう外交努力を続けています。
ただ、アメリカで中間選挙が行われる11月までは、実質的な進展が得られるのは難しいというのが大方の見方です。
大統領室は、アメリカ大統領が成立済みの法案について親書を送ったこと自体が、協力的姿勢の表れで、アメリカが韓国企業を配慮していることを尹大統領に示したものだと評価しています。
バイデン大統領は親書で、韓米同盟については、共通の目標に向けて韓国とともに中心的役割を担っていくことを固く信じるとも述べたとのことです。
これについて大統領室は、韓半島と東アジアの平和を維持するための緊密な協力関係を反映したものだと説明しました。
挑発の度合いを強める北韓に対するけん制とも受け止められます。
大統領室が親書を公開したのは、尹大統領の先の歴訪について「手ぶら外交」と野党側が批判しているのに対して、成果を強調するためのものとみられています。