韓国の大手ベーカリーチェーン店「パリバゲット」を傘下に持つSPCグループのパン工場で、20代の女性従業員が機械に挟まり亡くなった事故について、SPCの許英寅(ホ・ヨンイン)会長が謝罪し、再発防止策を発表しました。
許会長は21日午前11時、ソウル瑞草(ソチョ)区の本社で開かれた記者会見で、「故人とご遺族に、改めて哀悼の意と謝罪を表します。国民の皆さまにも、ご心配をおかけしたことについて謝罪します」と述べました。
そのうえで、「私をはじめとするSPCグループ一同が、今回の事故に対する責任を痛感しており、国民の厳しい叱責と指摘を謙虚に受け止める」と付け加えました。
事故が起きた翌日に、該当のパン工場で作業が進められたことについては、「弁明の余地がない。より重要なものは何か、従業員にしっかり伝えられなかった私の責任だ」と述べました。
許会長はまた、「再発防止に向け、グループ全体の安全管理システムを徹底して見直す」と強調しました。
そのうえで、グループの各事業所での安全対策ついて、外部の専門機関による分析を早急に実施し、総合的な安全管理の改善策を導入すると説明しました。
この事故は、ソウル郊外の平澤(ピョンテク)市にあるSPCグループのパン工場で今月15日に発生しました。サンドイッチに入れるソースを混ぜる作業をしていた20代の女性従業員が機械に挟まれ亡くなりました。
このパン工場は事故直後、現場を布で覆っただけの状態で作業を続行したほか、現場を目撃した従業員にも、すぐに休暇を与えませんでした。また、女性従業員の葬儀にSPCのパンを供えるなど、対応が不適切だったとして批判を受けました。
一方、この事故をきっかけに、SPC商品に対する不買運動が、オンラインとオフラインで広がっています。
全国民主労働組合総連盟など労働団体を中心に始まった不買運動は、SPC側の不適切な対応に憤りを覚えた一般消費者にまで広がり、収まる気配を見せていません。
フェイスブックやツイッターなどSNSとオンラインコミュニティでは、パリバゲット、サーティーワンアイスクリーム、ダンキンドーナツ、パスクッチなど、SPCグループの系列会社に対する自発的な不買運動が行われています。