韓国とアメリカの国防長官が会談し、アメリカの戦略資産を常時展開に近い形で韓半島で運用することにくわえ、北韓が核を使用した場合に核で報復する、いわゆる「核の傘」の運用に向けた訓練も、毎年開催することで一致しました。
アメリカ・ワシントンで現地時間の3日開催された韓米の国防長官による第54回韓米安保協議会では、北韓の核の使用を抑制するための拡大抑止策の強化について集中的に議論が行われました。
李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官は、アメリカの原子力潜水艦や航空母艦、戦略爆撃機など戦略資産を常時配置に準ずる水準で運用することで一致したと明らかにしました。
オースティン国防長官は、戦略資産を追加で配置するわけではないとしたうえで、必要に応じて調整した形で韓半島に展開すると述べました。
ことしに入ってステルス戦闘機「F-35」や原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする空母打撃群など、アメリカの戦略資産を持続的に韓半島に展開しているだけに、事実上、常時配置と同等の抑止効果があるとみられます。
韓米の軍当局は、北韓が核を使用するシナリオを想定した拡大抑止手段の机上演習を毎年実施することで一致したほか、来年は大規模な野外起動訓練を再開する方針を明らかにしました。
そして、北韓のミサイルに対応するための「韓米ミサイル対応政策協議体」を新設するほか、現在進めているオーダーメード型抑止戦略(TDS)の改定作業も加速させることで一致しました。
オースティン国防長官は、「アメリカの同盟国に対する戦術核を含めたいかなる核攻撃も容認できない」とし、「これは金正恩(キム・ジョンウン)政権の終焉を招くだろう」と警告しました。
北韓がアメリカに打撃を与えない戦術核を使用した場合でも、アメリカの核の傘を稼働するという警告のメッセージとみられます。