日本が、過去に端島炭坑(通称、軍艦島)を含む近代産業施設で強制徴用した韓半島出身の労働者に対して差別を行わなかったなどとする内容を盛り込んだ報告書をユネスコ=国連教育科学文化機関に提出したことに対して、韓国政府は遺憾を表明しました。
この問題をめぐっては、日本は2015年に「明治日本の産業革命遺産」がユネスコの世界文化遺産に登録された当時、「韓国政府の要求とユネスコの勧告に従って、1940年代に軍艦島で本人の意思に反して働かされた韓半島出身者の戦時労働があったことを認め、犠牲者を追悼する措置を取る」と約束しました。
しかし、当時の歴史を紹介するために東京・新宿に設置された「産業遺産情報センター」では、韓半島出身者への差別はなかったとする軍艦島の元住民たちの証言だけが紹介されていたため、去年7月、ユネスコは強制徴用をめぐる説明が十分ではないとして「強力な遺憾」を示し、改善を勧告しました。
さらに、世界遺産委員会が今月12日、公開した日本の報告書には、韓半島出身者に対する差別はなかったとする旨の主張が盛り込まれていました。
外交部の報道官は13日、論評を出し、日本政府はユネスコ世界遺産委員会の勧告と自ら約束した後続措置を忠実に履行していないとして、遺憾を表明しました。
あわせて、去年7月のユネスコの勧告に従って措置をとるよう、改めて求めました。
報道官によりますと、政府は、外交ルートでも日本側に対して抗議する予定だということです。