尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、前政権が導入した健康保険制度「文在寅(ムン・ジェイン)ケア」の廃止を公式に発表しました。
尹大統領は、最近の貨物ストライキへの対応が評価され、国政運営に対する支持率が上がったのを追い風に、本格的に改革に乗り出したものとみられます。
大統領は13日の閣議で、文前政権が導入した健康保険の保障内容を充実させる政策「文在寅ケア」が財政悪化を招いたと指摘し、制度の廃止は選択ではなく必須だと強調しました。
文前政権が2017年8月に発表した「文在寅ケア」は、美容や整形目的などを除いたほとんどの医療費に健康保険を適用し、国民の医療費負担を緩和するための政策です。
「文在寅ケア」が施行されたことで、高額のMRIや超音波検査などにも健康保険が適用され、患者の負担が大きく緩和された一方、健康保険の財政支出が大きく増え、ここ3年でMRIと超音波検査の治療費が10倍近く増えました。
尹大統領は、こうした状況を招いた「文在寅ケア」は人気取りの政策だと批判し、廃止を宣言しました。
一方、健康保険制度の変更は国会の同意が必須ですが、単独過半数を占める野党「共に民主党」は反対の意志を示しています。
共に民主党の金星煥(キム・ソンファン)政策委員会議長は、「国民が健康でいられる権利を国民自らに解決させようとするのは無責任だ。医療福祉政策の後退は、民間保険への依存度を高め、医療の民営化を促進する」として懸念を示しました。