北韓の無人機が韓国の領空に侵入したことについて、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、「この数年間、韓国軍の準備態勢と訓練が非常に不足していたことを示す」と述べ、ドローン部隊の新設を急ぐ考えを示しました。
韓国軍が北韓の無人機を確保あるいは撃墜できなかったのは、前政権による無人機への対策が不十分だったことが原因だとする趣旨の発言です。
尹大統領は27日の閣議の冒頭で、北韓の無人機による領空侵犯は、「より高度な準備態勢と訓練が必要であることを明らかにした事件だ」と述べました。
そのうえで、「2017年からドローンへの対策と反撃の準備がろくに行われず、訓練は皆無だった。北韓の善意と軍事合意ばかりを頼りとする対北韓政策がいかに危険なものか、国民もしっかり見たはずだ」と述べました。
尹大統領は対策として、「北韓の主な軍事施設を監視・偵察できるドローン部隊の新設を計画していたが、今回の事件をきっかけに新設を最大限前倒しするほか、ドローンをレーダーなどに探知されないようステルス化し、監視・偵察能力を強化する」と明らかにしました。
そのうえで、軍用無人機による北韓の挑発に対応するための来年度の予算が、国会で5割も削減されたことに言及し、「新年に国会を説得して防衛予算を増やし、国民の不安を解消すべく、予算と戦力を拡充していく」と強調しました。
一方、今回の領空侵犯への対応として、韓国空軍のF-15とKF-16戦闘機、KA-1軽攻撃機、さらに陸軍の攻撃ヘリコプター20機あまりが出動しましたが、このうちKA-1軽攻撃機が墜落する事故が発生しました。
これを受け、出動に際して空軍が無人機の対応マニュアルを順守したかどうか、指摘する声も上がっています。