尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の「自由・平和・繁栄のインド太平洋戦略」が正式に発表されました。政府が地域の外交戦略を独自で打ち出したのは初めてです。
大統領室の金聖翰(キム・ソンハン)国家安保室長は28日、記者会見し、インド太平洋戦略の最終報告書を発表しました。
政府は、5月21日にソウルで開催された韓米首脳会談の直後から、インド太平洋戦略の策定に取り組んできました。
報告書は37ページで、9つの重点推進課題を提示しています。
具体的には、▲規範と規則に基づいた秩序の構築▲法治主義と人権向上のための協力▲不拡散・対テロ協力の強化▲包括的な安保協力の拡大▲経済安保ネットワークの構築などです。
大統領室は報道資料で、「尹錫悦政権のインド太平洋戦略は、自由、法治、人権など普遍的な価値を韓国の対外戦略の核心要素に取り入れ、こうした価値を共有する国との連帯と協力を強調している」としており、同じく自由、法治、人権を基本としているアメリカのインド太平洋戦略と歩調を合わせているものとみられます。
ただ、大統領室は、韓国のインド太平洋戦略の重要な要素の一つは「包容」とし、戦略が中国を排除するものと解釈されることに警戒感を示しました。
大統領室の高官は、アメリカのインド太平洋戦略とは異なり、韓国の戦略は、韓国、日本、中国による会談の再開など、3か国の協力の必要性にも言及していると強調しました。
この当局者によりますと、政府はインド太平洋戦略を策定するうえで、中国をはじめ主要国と方向性を事前に確認したということです。