元徴用工被害者らが日本企業を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、日本企業が控訴審に必要な書類を受け取らなかったことを受け、「公示送達」によって5月に裁判が再開されることになりました。
公示送達は、送達すべき内容を裁判所の掲示板や官報に掲載することで内容が伝わったと見なす手続きで、実施から2か月後に効力が発生します。裁判所は、第1回口頭弁論の期日を5月11日に指定しました。
法曹関係者が12日に明らかにしたところによりますと、ソウル高裁は徴用被害者17人が三菱重工業や住石マテリアルズなど日本企業7社を相手取り損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、先月31日に公示送達を決定したということです。
裁判所は、去年8月と10月にも控訴審の開廷を試みましたが、被告側の日本企業に裁判書類が送達されなかったため開けませんでした。
この訴訟の一審で裁判所は、「被害者らには、日本企業を相手取って訴訟を起こす権利がない」として原告の訴えを却下していて、別の徴用損害賠償訴訟の韓国の最高裁の判例とは反対の判決となり、物議を醸しました。
元徴用工の損害賠償をめぐる訴訟のうち、最高裁の確定判決が出たのは3件で、残りの67件は係争中となっています。
一方、政府は先月12日、国会で開かれた公開討論会で、元徴用被害者を支援する政府傘下の財団が、日本企業の賠償金の支払いを肩代わりする案を公表しています。