韓国と日本の間で最大の懸案となっている強制徴用者問題が解決に向けた詰めの段階に入ったとみられるなか、両国が外交当局以外のチャンネルでも協議を進めていることがわかりました。
大統領室の関係者は3日、聯合ニュースとの電話インタビューで、「外交部以外のチャンネルも稼働中だ。両国の安全保障室の間でも十分な協議が行われている」と述べました。
主な交渉窓口は韓国外交部と日本の外務省ですが、韓国の大統領室国家安保室と、日本の内閣官房の国家安全保障局の間でも高官級の協議が行われているということです。
これは尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田総理大臣の「政治的決断」だけが残っていることを示唆したものと受け止められています。
政府は、敗訴した日本企業に課せられた賠償金の支払いを、韓国企業からの寄付金をもとに韓国の財団が基金を設け、肩代わりして支払う仕組みを解決策として示し、日本企業による自発的な参加を求めています。
これに対して日本政府は、「1965年の日韓請求権協定で、元徴用工も含めた請求権問題は解決済みだ」とする立場を堅持し、日本企業による参加を拒否しているため合意にたどり着けるかどうかは不透明な状況です。
こうしたなか岸田総理大臣は、10日に東京ドームで行われるWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの韓国対日本戦で、始球式を務める方向で調整に入ったと共同通信が2日、報じています。