日本政府は、韓国向け半導体材料などの輸出管理の厳格化措置について、韓国政府が対抗して行ったWTO=世界貿易機関への提訴を取り下げれば、解除する方向で調整に入ったと、5日、読売新聞が報じました。
読売新聞によりますと、これは徴用工問題の決着を見据えた対応で、韓日両政府が解除と提訴の取り下げをあわせて実現させることを検討していると、複数の日本政府関係者が明らかにしたということです。
日本政府は2019年7月、韓国に対して半導体の中核材料であるフッ化水素など3品目の輸出管理を厳格化したほか、8月には輸出手続きで優遇する「ホワイト国(優遇対象国)」から韓国を除外しました。
当時は「安全保障上の対応」と説明していましたが、韓国の最高裁が日本企業に対して元徴用工への賠償を命じる判決を下したことへの「報復措置」との見方が出ていました。
韓国政府は2019年9月、日本による半導体材料の輸出管理の厳格化は不当だとして、WTOに提訴しました。
日本政府は、徴用工問題で日本側が受け入れられる解決策を韓国が発表すれば、輸出管理の厳格化の解除に向けた環境が整うとみています。
韓国が提訴して以降、WTOでの係争が続いているなか、日本側は解除前の提訴取り下げを求めているということで、韓国側は解除と取り下げがほぼ同時に行われれば、受け入れ可能だとの考えに傾いているということです。