ジェネーブの国連事務局で1月に開かれた国連加盟国の人権状況の定期的な審査で、日本政府は、日本の植民地時代に韓半島から日本へ渡った労働者について、渡日の経緯はまちまちであり、国際条約で禁じている「強制労働」としてみなすのは難しいと主張していたことがわかりました。
日本政府は、「朝鮮半島からの民間人労働者らが、どのように日本へ渡ったか単純に説明することは難しい」としたうえで、「当時は自由意志で渡日した労働者や、官の斡旋、徴発などで労働していた者がいた可能性があり、これらの方法によって提供された労働は、国際条約で定められた強制労働とみなすことはできない」と主張したということです。
ILO=国際労働機関が1930年に定めた強制労働条約には、あらゆる形態の強制労働を廃止するという内容が盛り込まれていて、日本は1932年にこの条約を批准しています。
ただし、自発的な労働参加や戦争など非常時の労役は例外とされていて、日本政府の主張は、この点にもとづいたものとみられます。
一方、今回、国連の定期的人権審査で徴用問題を指摘したのは、北韓でした。一部では、北韓は、徴用問題の解決に向けて関係の改善が見られる韓国と日本の間に亀裂を招こうとする意図があったという分析も出ています。