北韓が9日に発射したミサイルは、SRBM=短距離弾道ミサイルよりさらに射程が短いCRBM=戦術短距離弾道ミサイルとみられると、韓国軍当局が10日、明らかにしました。
これは、韓国軍合同参謀本部の関係者が10日、記者らに対して述べたもので、「従来のミサイルシステムを縮小して、試験発射したとみられる」としています。
この関係者はそのうえで、「完全に新しいシステムではないが、運用面での更新があったと考える」と述べました。
北韓が9日に発射したミサイルは、有事の際に最前方の砲兵部隊から発射するもので、韓国軍が対応に重点を置いている短距離弾道ミサイルよりも低い高度で短い距離を飛行しており、発射の兆候をつかみにくく、韓米の監視網をくぐり抜ける可能性があるという指摘が出ていました。
これについて、韓国軍の関係者は、「現在、われわれが保有している対応システムによって十分対応可能だ」と述べました。
一方、9日の北韓によるミサイルを発射については、韓国軍による探知結果の発表のスピードと正確さにも疑問の声が出ています。
韓国軍は、ミサイルが発射されてから1時間20分後の9日午後7時45分ごろに、北韓が1発の短距離弾道ミサイルを発射したと発表しましたが、その後、午後10時5分ごろに、発射されたミサイルは複数だったと訂正しています。
これについて、南方向、すなわち韓国に向けて発射されたミサイルは詳細に探知を行うものの、今回は、ミサイルが西方向に発射されたため、十分な検出ができなかったという見方も出ています。
韓国軍の関係者はまた、「複数のミサイルが同時に同じ地域に向けて発射されたため、最初は1発だと判断したが、追加の情報を確認して訂正した」と説明しました。
そのうえで、「常識的に考えると、武器システムを密集させて発射するのは戦術的に望ましくないため、今回の発射は、韓米合同軍事演習の実施に対する意図的な武力の誇示とみられる」との見方を示しました。
韓米両軍は、13日から23日まで大規模な合同軍事演習「フリーダムシールド」を行うことになっています。