アメリカの情報当局が韓国の国家安保室を盗聴したとする機密文書が流出したとされる問題で、大統領室は、アメリカとの協議などを通じて問題は一段落したと判断し、これ以上、外交的に問題視しない方針のもようです。
大統領室の関係者は12日、聯合ニュースに対し、「アメリカの国防長官の提案で韓国側と電話協議を行い、双方は、流出した文書の相当数が偽造されたものだという認識で一致した」と述べ、この問題は収束しつつあるとの見方を示しました。
国家安保室の金泰孝(キム・テヒョ)第1次長も、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領のアメリカ訪問の準備のため訪れたワシントンで、現地時間の11日、記者らに対し、「アメリカがわれわれに何らかの悪意を持って盗聴を行ったと思われる状況ではない」と強調しました。
これに対し、最大野党「共に民主党」の顧問を務める、朴智元(パク・ジウォン)前国家情報院長は12日、「盗聴に悪意も善意もない。それ自体が不法で悪いことだ」と批判しました。
アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が今月上旬、アメリカの情報当局が韓国を含む同盟国などの通信を盗聴・傍受していることを示す機密文書が流出したと報じた際には、韓米両国の信頼関係を損なう致命傷になりかねないとの懸念がありましたが、韓国をはじめフランスやイスラエルなどの当事国が一斉に文書の内容を虚偽と見なしたことで、様相が完全に変わったと大統領室は判断し、幕引きを図っているものとみられます。
朴振(パク・チン)外交部長官は12日、記者らに対し、「大統領室も発表したように、相当数の文書が捏造されたものと評価している」としたうえで、「この問題でアメリカと緊密に意思疎通を図っている。アメリカ政府の調べで真相が把握されれば韓米間で情報を共有することになる」と説明しました。
アメリカのオースティン国防長官は現地時間の11日、アメリカ政府の機密文書がインターネット上に流出した問題について、「あらゆる手段で原因を突き止める」としたうえで、「我々は問題を極めて深刻に受け止めており、同盟国・パートナー国と緊密な協力を続けている」と述べました。文書流出について、オースティン国防長官が公式に発言したのは初めてです。