去年の1人当たりのGDP=国内総生産で、台湾が韓国を上回りました。半導体を中心とした製造業の業績がGDPに反映されているという分析が出ています。
台湾経済部は先月30日、「台湾の去年の1人当たりのGDPは3万2811ドルで、3万2237ドルの韓国を上回った」としたうえで、「台湾が1人当たりのGDPで韓国を上回ったのは、2004年以来18年ぶりだ」と明らかにしました。
経済部によりますと、台湾は半導体産業の競争力強化などに後押しされ、ここ10年間、GDPの成長率が年平均で3.2%ずつ上昇し、韓国を上回ったということです。
また、去年、ウォンの為替相場が落ち込んだことも影響したということです。
韓国と台湾は、人口密度のほか、製造業を基盤とした輸出中心の産業構造も似ているため、度々比較の対象となってきました。
台湾は、1990年代まで1人当たりのGDPで韓国を上回っていましたが、2000年代初めにITバブルが崩壊したほか、半導体市場での価格の引き下げ競争で韓国にリードを奪われ、一人当たりのGDPで韓国に追い抜かれました。
2008年の世界金融危機以降は、中国の製造業における競争力も奪われ、アジアの「4匹の龍」と称される韓国、台湾、香港、シンガポールのなかで台湾は最も弱い存在とされていました。
しかし、世界の半導体市場の中心が、サムスン電子のメモリー分野からTSMCの非メモリー分野にシフトしたことで台湾が再び躍進し、TSMCの企業価値は、2019年11月からサムスン電子を上回っています。
アメリカが先端技術のサプライチェーンを中国を外した形で再構築する過程で、台湾が波及効果を享受した一方で、韓国はその波に乗れなかったとの分析も出ています。
この10年間におけるGDP全体に占める製造業の割合の変化は、台湾では5.1ポイント増え34.2%となった一方、韓国は2ポイント減って27.8%となっています。