尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、G7=主要7か国サミットに参加するため広島を訪問する際、岸田総理大臣とともに広島平和記念公園の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を参拝することについて、在日同胞団体は、歓迎の意を示しました。
慰霊碑への参拝は、7日に行われた尹大統領と岸田総理大臣の首脳会談で合意されました。
在日本大韓民国民団広島本部の原爆被害者対策特別委員会の権俊五(クォン・ジュノ)副委員長は8日、韓国メディアとのインタビューで、韓国と日本の首脳が共に慰霊碑を参拝することについて、「広島の韓国同胞社会が願っていたことなので、とてもうれしい」と述べました。
権副委員長は、「ソウルから大統領が日本を訪問する際には、ぜひ参拝してほしいと、今の大使を含め、これまでの駐日韓国大使に求めてきた」と述べました。
韓国の大統領が、韓国人原爆犠牲者慰霊碑を参拝したことはこれまでありません。
現職の日本の総理大臣としては、小渕総理大臣が1999年に参拝しています。
権副委員長は、日本の総理大臣による参拝について、「謝罪の言葉を言わなくても、参拝すること自体が謝罪だと思う」と述べました。
韓国人原爆犠牲者慰霊碑は1970年に広島平和記念公園の外に建てられましたが、在日韓国人と在日朝鮮人の被爆の事実を後世に伝えようとする日本の市民運動によって、1999年に現在の場所である公園内に移されました。ここでは、毎年8月5日に韓国人犠牲者を追悼する慰霊祭が行われています。
韓国原爆被害者協会は、韓半島から強制徴用などで日本に渡り、1945年に広島に投下された原爆で被爆した被害者の数はおよそ5万人で、このうちおよそ3万人が亡くなったと推定しています。
一方、権副委員長は、岸田総理大臣が、韓日首脳会談後の共同記者会見で、強制徴用被害者の苦しみについて「心が痛む思いだ」と述べたことについては、「在日同胞の立場からすれば、岸田総理大臣にはさらに一歩踏み込んでほしかった」と述べました。