韓国では電気とガスの料金は政府が決定しますが、国際エネルギー価格の上昇で原価が料金を上回っていて、韓国電力と韓国ガス公社の赤字が膨大に膨らんでいるなか、両公社は12日、それぞれ大規模な財務改善策を実施すると明らかにしました。
国際エネルギー価格の上昇を消費者価格に反映しない政策は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時から続いていて、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権も、物価高の中、消費者の負担を増加させることに消極的で、電気とガスの公社の財政が悪化しています。
韓国電力の赤字は、おととし5兆8000億ウォンだったものが、去年は32兆6000億ウォンにまで膨れ上がったほか、ことしの第1四半期も6兆2000億ウォンの営業損失を記録しています。
韓国ガス公社では原価を下回る料金でガスを提供したことによる損失は、おととしは1兆7656億ウォンだったものが、去年は9兆ウォンに急騰し、ことし第1四半期にはさらに3兆ウォン増え、総額11兆6000億ウォンとなっています。
政府と与党「国民の力」は、ことし第2四半期に光熱費の引き上げを計画している一方で、公社に財務改善を行うよう圧力をかけていました。これは、値上げに対する消費者の不満をかわすねらいがあるものとみられています。
韓国電力は12日、所有する不動産の売却や従業員の賃金の凍結などを通じて、2026年までに25兆7000億ウォン規模の財務改善努力を行うと発表しました。文政権時代に任命された鄭升一(チョン・スンイル)社長は、発表の直後に辞意を表明しました。
また、韓国ガス公社も非常経営体制を宣言し、15兆4000億ウォン規模の経営革新安を推進すると明らかにしました。
韓国電力と韓国ガス公社の財務改善策が発表されたことにより、来週の初めにも、電気料金とガス料金の引き上げ案が確定される見通しです。