韓国で「報労金」と呼ばれる、北韓社会の貴重な情報を提供した脱北者への褒賞金の支払い件数が、このところ、大きく増えたことがわかりました。
統一部が国会外交統一委員会に提出した資料によりますと、統一部は去年、脱北者64人に、合わせて3億9800万ウォンの報労金を支払ったということです。
一人当たりの支払額は、最低で300万ウォン、最高で1億4800万ウォンでした。
1年の支払い件数、64件は、2014年以降、もっとも多いものです。
北韓が新型コロナの感染拡大防止のため国境を封鎖した影響で、去年韓国に逃れてきた脱北者が67人にとどまったことを考えると、異例と言えます。
新型コロナが広がる前の2014年から2019年までは年間、1000人以上が韓国に脱北していましたが、報労金の支払い件数は2016年の51件が最多となっていました。
報労金は、韓国の国益に役立つ価値のある情報や物品を提供した場合に政府が審査して支払うとしていることから、脱北者に外交官や海外の駐在員など、いわゆる「エリート」や軍の幹部が多く含まれていたのではないかとみられます。
政府消息筋は、「過去には韓国に入った脱北者の80%以上が国境近くに住む北韓住民だったが、新型コロナの影響で北韓が国境を封鎖し、中国も感染対策を強化して以降、国境地帯の住民の脱北や韓国入りは事実上不可能となった。これに対して、海外駐在員の入国経路は、ほぼ維持されている」と説明しています。
一方、1997年に韓国入りした黄長燁(ファンジャンヨプ)元労働党書記は、当時、報労金の最高額だった2億5000万ウォンを受け取ったとみられ、2016年8月に韓国入りした元北韓の公使、太永浩(テ・ヨンホ)氏も1億から数億ウォンの報労金を受け取ったとされています。