尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が看護法案に対して拒否権を行使したことを受け、大韓看護協会は、看護師免許の返却運動を繰り広げるとともに、違法でありながらもこれまで慣例として行われていた処方箋の代理作成や手術室などでの一部の医療行為を拒否すると明らかにしました。
大韓看護協会は17日、記者会見し、「尹大統領が大統領選挙で公約した看護法を拒否する異例の事態が発生した」として、強く反発しました。
大韓看護協会は、「今後1か月にわたって全国の看護師免許を集め、保健福祉部に返却し、その後、ソウルの光化門(クァンファムン)でデモを行い、大統領に拒否権の行使を要求した保健福祉部長官の罷免を求める」と述べました。
さらに、協会は、大統領に対する抗議として、一部の看護師らが病院側の指示でこれまで慣例として行ってきた、医療法で看護師の業務として定められていない医療行為をやめるということです。
医師不足や、医師が緊急外来の対応を避ける傾向などを背景に、手術室などで一部の医療行為を看護師に担わせる慣習が1980年代に始まりました。
病院看護師会によりますと、こうした業務を行う看護師は、2016年には3300人程度でしたが、2019年には5000人近くにまで増えたということです。
さらに、現在では、全国に1万人以上いるとされています。
大韓看護協会は、こうした慣行が広がっているとみて、違法診療申告センターを運営し、事例を集める計画です。
看護法の制定をめぐっては、最大野党「共に民主党」が先月27日に国会の本会議で強行採決したものを、尹大統領が今月16日、「職域間の過度な対立を招き、国民の健康に対する不安を引き起こしている」として、拒否権を行使しました。