尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12日、女性に対する凶悪犯罪について、加害者の身元を積極的に公開するよう、法務部に指示しました。韓国では、容疑をかけられている段階だけでなく、起訴されて被告となったあとも、基本的に匿名が原則となっています。
尹大統領の今回の指示は、先月、釜山の繁華街で、30代の男性が帰宅中の女性を暴行して気絶させ、性暴力を加えようとした事件を念頭に置いたものとみられます。
この事件は、現在高等裁判所で争われています。
12日の控訴審判決で有罪が確定し、身元の公開命令が出された場合、「性犯罪者公開サイト」に加害者の名前や住所のほか、職場や身体に関する情報が公開されます。
ただ、被告が最高裁判所にあたる大法院に上告した場合、あるいは高等裁判所が公開命令を出さなかった場合は、身元の公開は見送られます。
起訴前の捜査段階では、容疑者の身元の公開は、犯罪の深刻さなどを踏まえて警察や検察が決定することになっていますが、1998年の最高裁判決以降は、凶悪犯罪であっても匿名報道を原則としています。
当時最高裁は、犯罪の内容を報じることは公共性があるとする一方、犯人の情報を報じることには公共性が認められないとして、容疑者の身元情報を報じたメディアに賠償を命じました。