政府は、東京電力福島第一原発の汚染処理水の海洋放出が行われても、韓国の海域は安全だという認識を示しました。
趙承煥(チョ・スンファン)海洋水産部長官は20日、国会の農林畜産食品海洋水産委員会の全体会議に出席し、福島原発の汚染処理水が放出されたあとも、現状と同じく韓国の海岸で放射能は検出されないという考えを示しました。
また、「WTO=世界保健機関も日本の海域が汚染される可能性を踏まえ、福島産水産物の輸入を禁止するのが正しいとしているが、どういう根拠をもって安全だと考えるのか」という質問に対しては、「汚染水が安全だと言っているわけではなく、韓国の海岸や水産物は安全だという意味だ」と述べました。
趙長官は、その根拠として、2011年に福島原発の事故が発生したあと、放射性物質が流出したものとみられるものの、今のところ、韓国の海域で放射能が検出されていないことを挙げ、「今後も韓国の海域は安全だろう」という考えを示しました。
そのうえで、福島周辺の海域でとれた水産物の輸入を禁止しているうえに、汚染処理水は韓国の海域に到達するまでに海水は十分に希釈されることから、「水産物と海水は明確に区分すべきだ」と強調しました。
韓国が日本の水産物の輸入を規制していることをめぐり、日本がWTOに再び提訴した場合の対応については、「福島周辺の海でとれた水産物から基準値の180倍のセシウムが検出されたという事実が、輸入禁止の名分となっている」と述べました。
また、汚染処理水の海洋放出に対するIAEA=国際原子力機関の検証については、「世界11か国の研究チームが参加し、6か所の研究所で試料を採取し検証しているため、最も権威のある検証機関だと考えている」と述べ、IAEAの見解に対する信頼を示しました。
一方、海洋放出を止める方法については、「国際海洋法裁判所を通じて放出を注視させる方法しかない」としながら、「時間もかかるうえに、失敗する可能性も排除できない」と明らかにしました。
そのほか、「代案があるにもかかわらず、なぜ海洋放出が行われなければならないのか」という質問については、「IAEAの検証に参加した際の前提が海洋放出だったため、その時点でほかの方法があったのではないかと提案するのは、適切ではなかったと考える」と答えました。