政府は、韓国南部にあるアメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」の基地から出る電磁波が、人体や環境に及ぼす影響は小さいと結論付けました。
2017年から6年間、臨時配備となっていたサードの正式配備に向けた動きが加速するものとみられます。
国防部と環境部は21日、慶尚北道(キョンサンブクト)の星州(ソンジュ)基地の環境影響評価書に関して、協議を終えたと明らかにしました。
環境部は、地域住民が最も懸念している電磁波について、「測定された最大値が、安全基準の0.2%程度だった」としたうえで、「人体と周辺の環境に及ぼす影響は小さいと判断している」と述べました。
今回の環境影響評価は、星州基地を本格稼働するための前段階と位置づけられていて、サード運用に向けた最後の関門とされていました。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は2017年、北韓のICBM=大陸間弾道ミサイルによる挑発を受け、サードの臨時配備を決めるとともに、環境影響評価を行う方針でしたが、地域住民と環境団体などの反発によって本格的な評価を行うことができませんでした。
一方、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、発足初期から「サードの正常化」を強調していて、基地の運用に反対する地域住民などが出入り口に設置した障害物を国防部に撤去させるなど、正式配備に向けた準備を加速させています。