政府は、難易度が高すぎるとの指摘がある現在の大学入試問題について、学校教育だけでも解ける内容に変更する方針を発表しました。学習塾などに通う費用の負担を軽減することが狙いですが、改革の進め方については野党や教育団体から批判が出ています。
教育部は26日、年間26兆ウォンに上る私教育費を減らすため、ことしの大学入試から、超高難度の問題、いわゆる「キラー問題」をなくし、生徒たちが公教育の範囲内で入試問題が解けるようにするなどの対策を発表しました。
この対策は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が15日、「公教育の課程で扱わない問題は、大学修学能力試験から排除するべきだ」と指示したことを受けてのものです。
教育部は、キラー問題を出さなくても受験者の上位グループと中間グループの能力差を見ることが可能だとしていますが、今のところ具体的な方法は示していません。
一方、大学修学能力試験を5か月後に控えている受験生やその保護者の間では、不安の声が上がっています。
最大野党「共に民主党」は、入試制度の変更は、実施の4年前に公示することになっているとして、尹大統領の政策を拙速だと批判しています。
また、先の文在寅(ムン・ジェイン)政権が2025年度から廃止することを決めた外国語高校や民族史観学校など、いわゆるエリート養成校を存続させることについて、「私教育の解決と矛盾している」しています。
「共に民主党」によりますと、中学3年生のうち、エリート養成校に進学を希望する生徒の私教育費の支出は、一般校に進学する生徒に比べて70%多いということです。
私教育費の問題について、教員団体は、学歴が就職の機会に直結していることに原因があるとしたうえで、「労働問題を含めた社会政策の枠組みのなかで総合的な教育改革を進めてこそ効果が期待できるだろう」と指摘しています。