中断している北韓での金剛山(クムガンサン)観光事業を手がける現代グループの玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長が、故鄭夢憲(チョン・モンホン)前会長の20周忌となる、ことし8月4日に合わせて、北韓訪問の計画を進めています。
北韓の景勝地・金剛山の観光事業は、1998年に始まり、年間34万人を超える観光客を誘致するほど人気を集めていましたが、2008年7月に韓国人観光客1人が北韓軍による銃撃で死亡した事件以来、中断されています。
玄会長は、金剛山観光事業など生前、南北協力事業に尽力した故鄭夢憲前会長の妻です。
政府は、「南北関係は閉塞状態にあるが、追悼式典の性格などを考慮して人道目的での北韓訪問は認めるべきだ」という見解を示しており、最終的には承認するとされています。
玄会長の北韓訪問が実現すれば、金剛山観光事業開始から20年を記念して2018年11月に開かれた南北共同行事に出席するため北韓を訪れて以来5年ぶりの訪問となります。
韓国統一部の当局者が30日、明らかにしたところによりますと、玄会長は8月の北韓訪問に向けて北韓側と接触するため、今月27日に統一部に届けを出したということです。
韓国国民は、北韓側と接触する際、政府にその計画を事前に届け出ることが義務づけられていて、条件を満たしていれば原則7日以内に受理されます。
玄会長側が出した届けは、故鄭夢憲前会長の20周忌の追悼式典に合わせて金剛山を訪れるため、北韓の朝鮮アジア太平洋平和委員会と接触する計画だとする内容のものとされています。
この届け出が受理されれば、現代グループは北韓の朝鮮アジア太平洋平和委員会と接触して招待状を送ってもらい、その招待状を統一部が承認すれば北韓を訪れることができます。
北韓が招待状を送ってくれば、韓国政府も人道目的の訪問であるだけに、承認する可能性が高いとみられます。