徴用問題をめぐって、日本企業の代わりに韓国の財団が賠償金を支払うという韓国政府の解決策を拒否している原告について、政府が賠償金を裁判所に供託すると発表したことを受け、この措置が法的に有効か、関心が集まっています。
韓国の最高裁にあたる大法院で勝訴判決を受けた被害者と遺族、合わせて15人のうち、存命の被害者2人と亡くなった2人の遺族、合わせて4人は、判決金とその支払の遅延利息について、「日帝強制動員被害者支援財団」からの支払いを拒否しています。
供託とは、金銭の授受に際して、受け取る側が拒否したり行方が分からなかったりする場合などに、支払う側が裁判所に金銭を預けることで支払いが完了したと法的な認定を受けるために利用される制度です。
今回の供託が有効だと裁判所が判断すれば、被告の債務が消滅します。
また、賠償金の支払いに充てるために徴用訴訟の原告の一部が別途、三菱重工業や日本製鉄など日本企業の韓国内資産を売却するために起こした裁判も中止となる可能性もあります。
原告側は、当事者である原告が財団による支払いの肩代わりを認めていない以上、財団には供託する資格が無いとして、日本企業の韓国内資産の現金化命令を審理する大法院に供託の無効を主張する計画です。また、供託を無効とするための提訴を検討しているということです。
一方、供託の法的効力が認められなかった場合でも、大法院の審理には時間がかかるため、供託の手続きは被害者側を説得するための時間稼ぎだという見方も出ています。