金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長は10日、談話を発表し、アメリカ空軍の偵察機が北韓のEEZ=排他的経済水域の上空を侵犯したと主張しました。
金副部長は談話で、「10日午前5時頃、米軍の戦略偵察機が、北韓の海上軍事境界線を越え、EEZの上空を侵犯し、東部の地域に対する空中偵察を行った」と述べました。
金副部長の談話に先立ち、北韓の国防省は10日、アメリカ軍の偵察機が、連日、領空を侵犯しているとして、撃墜する可能性を示唆し、これを受け、韓国軍の合同参謀本部は、「アメリカの偵察機の韓半島周辺での飛行は通常の偵察活動だ」と反論し、北韓に対して、「虚偽の事実を主張し、緊張を助長する行為を中断することを厳重に促す」と求めました。
金副部長の談話は、北韓の国防省による主張を重ねて強調するものです。
金副部長は、「我々の空軍の出撃を受け、撤退した米軍の偵察機は、午前8時50分ごろ、再び海上の軍事境界線の上空を侵犯し、空中偵察をするという厳重な軍事挑発を行った」として、「すでに米軍側に強力な警告をしている」と述べました。
さらに、「米国のスパイ飛行機が幾度も侵犯する我々の経済水域の上空、20キロから40キロの区間では、いつか衝撃的な事件が発生することになるだろう」とあらためて警告し、断固として対応する姿勢を示しました。
金副部長が言及した「20キロから40キロの区間」は、2018年の南北軍事合意で、南北軍事境界線から西部地域は20キロ、東部地域は40キロ以内の上空では、偵察機や戦闘機の飛行が禁じられていることを意味するものとみられます。