北韓が12日、韓半島東の海、東海(トンヘ)に向けて、ICBM=大陸間弾道ミサイルとみられるミサイル1発を発射しました。
韓国軍の合同参謀本部は、北韓が12日午前10時ごろ、平壌(ピョンヤン)付近から東海に向けて、長距離弾道ミサイル1発を発射したと明らかにしました。
ミサイルは通常より高い高度に打ち上げるロフテッド軌道で発射され、飛距離はおよそ1000キロ、最高高度は6000キロを超えたということです。
日本の防衛省によりますと、ミサイルの飛しょう時間は74分で、北韓が発射したミサイルとしては、過去最長だということです。
北韓は6月15日に東海に向け短距離弾道ミサイル2発を発射していますが、長距離弾道ミサイルの発射は、4月13日に固体燃料式ICBM「火星18」を発射して以来およそ3か月ぶりです。
今回、アメリカを直接打撃できるICBMを発射することで、武力を誇示したものとみられます。
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長は10日と11日、2日連続で談話を発表し、アメリカの偵察機が韓半島東の海、東海上のEEZ=排他的経済水域上空を侵犯したとして、「無断侵犯が繰り返される場合、アメリカ軍は極めて危険な飛行を経験することになるだろう」と威嚇していました。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12日午前、訪問先のリトアニアで、NSC=国家安全保障会議の常任委員会を開き、ICBMの可能性がある北韓のミサイル発射について、「北韓の無謀な挑発は代価をともなう」と警告したうえで、核抑止力を議論する韓国とアメリカの「核協議グループ」が来週ソウルで開かれるのに合わせて、拡張抑止力をさらに強化するよう指示しました。
一方、NATO=北大西洋条約機構は、北韓のミサイル発射の直前となる現地時間の11日、リトアニアで首脳会議を開催し、北韓に対して核兵器を含むすべての大量破壊兵器と弾道ミサイルプログラムを、完全で検証可能かつ不可逆的に放棄することを求める共同声明を発表しました。